マンション設備のトラブル相談②

管理者が回答者をしている、無料相談サイト「NPO住宅110番」の回答事例をカテゴリー別に分類し、検索を容易にしてアクセスできるようにしました。

ご挨拶 管理者は、建築設備の専門家で、設備トラブルに関する著作もあります。 マンション設備のトラブルは多種多様で、生活に密接な関係があるのに、一般ビルと違って、管理人が技術者でないのが問題です。 停年後、無料相談サイト「NPO住宅110番」を見つけ、ボランティアで回答者となりました。このサイトではアドバイザーの回答事例を紹介しておりますが、時系列になっております。 管理者が回答者をしている、複雑多岐にわたるトラブルをカテゴリー別に分類し、検索を容易にして直接110番の相談・回答にアクセスできるようにしました。 現時点ではアクセスしにくいものもあるかとおもいますが、ご容赦ください。

③クレームはどこから発生するか

一般的には、不具合やトラブルが発生した場合、それに対して事業者側(設計・施工含む)とユーザー側との間に認識ギャップが発生しやすい。一言でいえば「クレームとは品質に関するユーザーとメーカーの認識の差より生じる」ということが出来る。

 

この業界に携わる方々に関していえば、立場を替えれば自分たちもユーザーである。しかし生産者側にいるということで使用者としての見方が若干甘くなることはある程度は仕方がない。CS(顧客満足度)としては、基本的な機能の充足以上のグレードが求められているのだが、個々の職人レベルまでそれを徹底させるのはなかなか難しい。

 事業者・施工者側には「この請負金額でこれだけのものが出来れば十分であろう」との認識があり、ユーザー側には「こんな高額商品なのだから、この程度のグレードであるべき」との思いがある。そしてその認識にもそれぞれの側で幅があり、それゆえにこの間の認識ギャップは大きくずれることが多く、不具合が発生した場合にクレームにつながりやすい。

最近の傾向としては、ユーザー側から過度な性能要求・品質要求が多くなってきているそうである。但し、生産者側にいたものとしては、品質に関する過度に厳しい要求については勘弁して欲しい、ユーザーに対しては「出来ることと、出来ないこと」の差、施工誤差というものの存在を認識していただきたいというのが正直な気持ちである。

◆マンション設備トラブルの概要②

マンション・住宅にはなぜトラブル・クレームが多いのか

(「マンション設備『マサカ』の話より要約」

この原因をいちいち挙げていたらきりがないが以下のようにまとめられる。

1.建築全般に言えることであるが)マンション・住宅は一般の工業品とちがって一品生産であること、
2.使われ方も各戸・各棟によって異なること、
したがって、
3.性能検証をする事が難しく、使って見なければ分らないという要素があること、
4.生存設備、生活設備としての比重が高く、トラブル・不具合が生活に直結している事
5.生活の場として365日・24時間使用されることにより不具合が見つかりやすい事6.高額商品であるため消費者の品質に関する要求が厳しいこと。(その割には設計料・工事コストは低く抑えられている)
7.その不具合に対する評価・認識が消費者と製造者により大きく違っていること
8.マンション・住宅設備の設計者・施工者による技術レベルの差が大きいこと、
9.マンション管理会社、管理人による技術レベルの差が大きい。
10.建築設備トラブルは経験工学的要素が大きいので、事業計画・建築/設備設計・施工・管理の各段階ごとに、未経験のトラブル要因が潜んでいる。

はじめに

マンション設備トラブルの概要


①このコーナーの成り立ち
◆このブログの成り立ち)

(「マンション設備『マサカ』の話より要約」

 定年退職後暫くの間暇であったので、あちらこちらのホームページを覗いているうちに、「住宅クレーム110番」(現在は「NPO住宅110番」)(http://npo.house110.com/)というサイトを見つけた。
回答者は建築設計事務所や住宅メーカー等の方たちで設備屋(建築設備関係技術者の総称)はいない。
設備に関しては時々「ン?」と思われる回答があった。「差しつかえなければ設備関係の回答者をしましょうか?」という申し出に対し、「ボランティアでよろしかったらお願いします」ということで回答者を引き受けた。

 

現役中の大きなトラブルはどちらかと言うと、クレーマー的な入居者の話を耳にする機会が多かったが、このサイトではその逆で「大人しい住人と不誠実な業者(デベロッパー、施工業者)」という構図が多く見られ、それを何とかしてあげたいと思ったのも回答者を申し出た理由である。
又、トラブルの原因として、考えられないような設計や工事についても、自分の経験をアドヴァイスとして役立てたいとの思いもある。したがって回答内容は若干事業者側に厳しいものとなっている。

 

ここでの相談・回答は「設備と管理」誌(オーム社)に『マサカ』の話として連載した他、まとめて、「マンション設備『マサカ』の話より設備トラブル相談のQ&A」(オーム社)として上梓した。

 

また、筆者がかかわった事例は、200件近くあり似たような事例も多い。
上記連載への記述は相談・回答とも内容は要約されている。
したがって、このコーナーで相談者の生の声と、素人の方に対する詳しい回答を再現したいと思ったのである。

 

また、「110番」は住宅全般のトラブル相談を扱っているので、設備トラブルのジャンル分けはなされていない。騒音・臭気・排水の逆流等、相談者にとっては、同じような相談事例に簡単にアクセスできることが望ましい。

ここでは、「110番」相談事例のうち、筆者回答をジャンル分けし、

 相談者が知りたいトラブル相談と回答に簡単にアクセスできるように配慮した。

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